2011年06月10日

ウィノグランドも真っ青

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ゲントさんの発表会の夜の?次会。
ウィノグランドも真っ青な構図の恭司さんフォト。

突然ですが、名古屋(明日)大阪(明後日)でトークします。
お近くでお暇な方は是非。

投稿者 町口覚 : 16:26

2011年05月18日

Tomoki Imai: A TREE OF NIGHT

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去年のパリフォトでお披露目した、今井智己写真集『A TREE OF NIGHT』の発売を今週末の土曜日に開始します。
写真集の販売、写真のオークション、ギャラリーなどをウェブサイト上で展開する「Photo-eye」が毎年行っている「THE BEST BOOKS OF 2010」にも選出されちゃいました〜。

下記、連載「町口覚の解体」コマーシャルフォト2011年5月号より

 デビュー写真集『真昼』(青幻舎/2001年)の制作以来の付き合いになる写真家の今井智己くんは、その後もしっかりと写真と向き合いつづけ、2009年に『光と重力』(リトルモア)を発表する。コンスタントに今井くんの写真を見つづけてきた俺は、『光と重力』の発表後すぐに、新たな写真集の刊行を提案する。条件は、35ミリのカラー写真であるということと、写真点数が少ない写真集にするということ…。

 1枚目、古びた喫茶店のエントランス。2、3、4枚目、点字図書の複写。5枚目、人気のないオフィス街の交差点で傘を差し信号待ちをする男と女。6枚目、点字図書の複写。7枚目、歩行者用信号機。8枚目、公園の噴水。9、10枚目、点字図書の複写。11枚目、静かに揺らぐ煙。12枚目、点字図書の複写。13枚目、化粧室の鏡。14枚目、点字図書の複写。15枚目、檻の中の白い鳥。16、17、18枚目、歩道に埋め込まれた点字ブロック。19枚目、街路樹。
 この写真集は24頁、35ミリのカラー写真19枚で構成されている。
 今井くんが俺の条件を揃えて持ってきた写真の中で、俺が心を動かされたのは、点字図書が複写された8枚の写真。点字図書は複写なので、点字の凹凸に触れても凹凸を感じることはできない。しかし、点字を視覚で捉える俺には、点字であることは理解することができる。そこにはなにが書かれているのか?
 これは、トルーマン・カポーティの短篇集『夜の樹』である。
 例えば、人気のないオフィス街の交差点で傘を差し信号待ちをする男と女は、『「今日は何曜日?」「日曜日」彼は、掛け布団にもぐり込み、脚の上に盆を置きながらいった。「でも教会の鐘が聞こえない」彼女は言った。「それに、雨が降っている」』という一説。
 例えば、化粧室の鏡は、『背の高い、華奢なストゥールに坐って、このソーダ・ファウンテン越しに向うを見ると、一列に並んだ、古いマホガニー枠のついた鏡に、自分の姿がろうそくに照らし出されたように柔らかく映っているのが見えた。』という一説。
 例えば、檻の中の白い鳥は、『鳥籠には覆いがかけられている。彼女はその下を覗き込んだ。「カナリアね」彼女は言った。「起してもいいかしら。声を聞きたいわ」』という一説。

 解体後、俺の仕事場で今井くんと、改めて少し話をした。
 写真に対して違う角度から見つめ直すきっかけにしたかったということ。点字図書を題材にしようと思ったが、カポーティの『夜の樹』は、必然ではなかったということ。写真家がものを見る、ということはなんなのか。写真は目が見えない人にとっては、まったく意味がないものなのではないか。そして写真家と目が見えない人とは、決して交わることはできないのではないか。そんな自問を繰り返し、写真と、この写真集に向き合った今井くんは、目に見えるものと見えないものの境界を旅する写真家としての、その宿命をしっかりと背負うことのできる写真家になったのだと俺は思った。
 素敵になったね、今井くん。

投稿者 町口覚 : 15:02

2011年03月24日

True Colors

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ナディッフさんがウチのブックフェアをしてくれてます。
いって、さわって、めくって、みてください。
True Colors
ゴミ箱に乗って金がすべてって吠える彼女も大好きです。

投稿者 町口覚 : 20:08

2011年03月19日

Mo Chúisle

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昨日沼津で印刷立会。今日入稿三連発。
今朝、ウチの助手の祖母殿(八十七歳)の夢から覚めた第一声「再婚した!」名言。
Mo Chúisle!

投稿者 町口覚 : 16:50

2011年01月29日

Kozo Miyoshi: ORIGIN

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ホント、お待たせしました〜!
「M/Light」レーベルからの第二弾写真集、三好耕三『ORIGIN』が、遂に本日の13時より発売を開始します。
限定700部。すべてにエディションナンバーと直筆サインが付いています。
で、兄貴(俺)もビビる写真集に仕上がっております。うっ〜、負けそ。

下記、連載「町口覚の解体」コマーシャルフォト2011年2月号より

 当たり前のことではあるが、百戦錬磨の先人たちへの礼儀には最大限の気を遣うことにしている。尚更、同じ世界で生きている百戦錬磨の先人ともなれば…。

 この写真集は、1975年生まれのグラフィックデザイナー・町口景がディレクターを務める写真集レーベル “M/Light” から刊行された二冊目の写真集。自分の父親世代の写真家と直接会い、その写真家の原点を探り、一冊の写真集としてアウトプットすることをコンセプトにした写真集レーベルである。一冊目は、田村彰英さんの写真集「Afternoon」を刊行している。なぜ、このようなコンセプトで写真集レーベルを立ち上げたのか。自分の弟でもある、町口景と少し仕事場で話をした。

 完成した田村さんの写真集を写真家の髙橋恭司さんに見せ、そのコンセプトを話したことで、三好耕三さんを紹介していただいたということ。初めて会った三好さんは、印刷物に対して全く興味がなかったということ。その印刷物に対して全く興味がなかった三好さんに、君と写真集をつくることにするから君の好き勝手に写真集をつくって欲しいと言われ、写真のセレクト、構成、造本に対して三好さんは一切の口を挟まなかったということ…。
 それは、写真家とデザイナーの共同作業ではない、ものづくりの始まりを意味していたのではないか。三好さんは、自らの写真家としての原点を探らせることで、これからの人間に、写真を見る力、写真を読む力を養うんだ、ということを教え、その人間のこれからを期待したのではないか。

 写真集の巻末に収められている「写真から写真へ」と題された台湾のギャラリストの邱奕堅さんの言葉を一部引用する。
『この写真集「ORIGIN」に収められているシリーズ “Exposure” と “See Saw” には、三好耕三のもう一つの原点が隠されている。それは、今日までの数多く発表された作品の原点となっていることだ。1980年代の後半、三好耕三は、8×10大型カメラで撮影した “天真爛漫” と “温室” のシリーズによって徐々に知られるようになる。三好耕三と言うと自然に8×10大型カメラという連想が、写真界で誰もが抱く一般的な印象になる。今年私は三好耕三のスタジオを訪ね、この写真集の中に収められている作品を初めて見せられた時、はっと悟った。30数年来接触してきた三好耕三の全作品のうちのほとんどが、“Exposure” と “See Saw” のシリーズを通して進化し始め、地道に彼が今までに発表してきた作品のアウトラインができたことを初めて知ったのである。「ORIGIN」は、彼の人生における写真作品の基本文脈であり、私たちに彼の写真の脈絡を洞察させる。私は、「ORIGIN」を、三好耕三の本当の原点だと考えている。』

 そう、百戦錬磨の先人の本当の原点に直接触れることのできたこれからの人間のものづくりには、期待ができる。

投稿者 町口覚 : 00:01