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2006年11月24日

明日に追いつくために③

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今度、神戸の “アートビレッジセンター” で、森山さんとトークします。お近くの方は是非、足を運んでください。


やっぱり、明日に追いつくことにする。

2006.11.19
早朝、まだ朝日も差していない時間から、橋口譲二写真集『17歳』『Father』『Couple』のカバーデザインを詰める。詰めて、詰めて、エッジの先まで来たデザインは余計なものが一切排除されていくので心地がいい。
朝日がのぼり、少し経った頃、王子製紙の本社へ向かう。明日は、深く立ち上げに携わった “OJI PAPER LIBRARY ” がオープンする。“紙ハ好キデスカ?” をコンセプトに展開されていく “OJI PAPER LIBRARY” に乞うご期待!
“OJI PAPER LIBRARY” のセッテイングの途中にも関わらず、早朝デザインを終えた、写真集『17歳』『Father』『Couple』のカバーデザインを橋口さんに見てもらうために仕事場へ戻る。橋口さんは、俺のデザインを全面的に受け入れてくれた。嬉しい。
橋口さんとの打ち合わせが終了後、すぐに王子製紙の本社に戻る。深夜、そろそろ朝日が差しだす時間にセッティングが終了。スタッフと24時間営業の寿司屋で刺身&ビール。

2006.11.20
完徹。でも、爽やか。だって、今日は娘の誕生日。
大森克己写真集『サナヨラ』発売後、久しぶりに版元である愛育社へ打ち合わせに向かう。今回の写真集でお世話になった、製紙会社の山田さん、印刷会社の谷口さん、丹羽さんを愛育社の伊東さんに紹介する。写真集制作に携わったすべての方々に感謝。ホント、本はひとりでは作れないことを実感する瞬間だった。
仕事場へ戻る途中、本田宗一郎の生誕100年を機にホンダの本社で開催している、「Honda原点の想い〜いつまでも伝えたいものがある〜」を拝見。やっぱ、ホンダは格好がいい。
仕事場に帰ると、スタッフがそわそわしている。だって、今日は “OJI PAPER LIBRARY” の誕生日。
スタッフ共々、オープニングパーティーへ。無事、なんとかパーティーは終了。打ち上げで朝までビール。やばい、明日が来ない。今日がずっと続いてる。日付だけが変わってく。

2006.11.21
大河ドラマ『風林火山』のポスター撮影のため渋谷のNHKのスタジオへ向かう。カメラマンは田村彰英さん。ホント、今回の『風林火山』のポスター撮影では力を貰ってる。感謝です。
撮影終了後、映画『14歳』の試写を観にぴあへ向かう。久しぶりに会った荒木さん(ぴあフィルムフェスティバルのディレクター)の笑顔に力を貰う。映画『14歳』は、最高だった。仕事を引き受ける。
試写終了後、仕事場へ戻る。野村佐紀子写真展『太陽の汗、月の涙 近藤良平』に合わせて刊行する写真集をデザインする。デザイン終了後、流石に力尽きる。何時間、起きていたんだろう?

2006.11.22
作家の吉田修一さんと佐内正史の共著本のタイトルの打ち合わせ。そんなに時間がかからないで、タイトルが決まった。吉田さん、佐内、担当編集者、俺、みんなでご満悦。
打ち合わせ終了後、野村佐紀子さんと昨夜デザインした写真集の打ち合わせ。こちらは、ふたりでご満悦。
打ち合わせ終了後、月曜社の神林さんが、森山大道写真集『新宿+』の完成本を持って来てくれる。640頁の大作。こちらも、ふたりでご満悦。
打ち合わせ終了後、“RAT HOLE GALLERY” で開催している荒木経惟さんの写真展のオープニングパーティーへ向かう。もの凄い人の数。俺、人ごみは嫌い。だけど、今回は写真展に合わせて刊行した写真集のデザインを担当したから参加しないわけにはいかない。完成した写真集をギャラリーで初めて見る。良い出来。荒木さんに誉められた。
パーティーの途中、さっき打ち合わせをしていた、野村さんの写真集のダミーを近藤(良平)さんに見てもらうために移動。これまた、男ふたりでご満悦。
近藤さんと別れた後、荒木さんの二次会へ合流。久しぶりに写真家の笠井爾示に会う。少し様子がおかしいので心配する。爾示とは改めて飲む(=飲みに誘う)ことを心に決める。また、荒木さんに誉められる。ちょっと怖い。写真家の沢渡朔さんと少しお話をした。沢渡さんは、とっても面白い人だった。
なんだかんだと朝までビール。

2006.11.23
昼まで眠った。久しぶりに眠った感じがした。
家の近くのレストランでワラジメンチカツを食べながらスポーツ新聞。小笠原が巨人? 救出された犬の飼主を希望する人間が殺到? ちょっとそれって可笑しくないかい? ロバート・アルトマン氏死去、灰谷健次郎氏死去、心よりご冥福をお祈りします。
昼食後、仕事場へ向かう。鐘下辰男さんの新作『セルロイド』のフライヤーデザインをチェック。とってもいいデザインに仕上がっている。数ヶ月先に始まる芝居のポスターやフライヤーをデザインするときに、その芝居の台本は完成していないケースが多々ある。そんな時には、演出家の方と直接話しをするように心掛けている。いろいろな事情により直接話が出来ない場合には、“イメージの言葉” だけでも貰うようにしている。今回の鐘下さんの新作の場合は後者の選択だった。どのような“イメージの言葉” が、俺に伝えられたか、というと。

凍りついた凝視。
表情のない冷たい目をした子ども。
親の愛情が暴力や放置、心理的な虐待などに姿を変えたとき、
子どもの身長や体重は増えなくなり、身体と心の成長を阻害される。
自分の存在を親に頼れない子どもは次第に表情を失う。
それが「凍りついた凝視」と呼ばれる表情をつくる。

以上の “イメージの言葉” を読み取り、俺がグラフィックデザインに置き換える。
これだから、グラフィックデザインは止められない。こんなに面白い仕事は世の中にはない。

夜、佐内と編集者の畑中さんと打ち合わせ。静かに白熱した。佐内の終わらない旅に、俺は必ず便乗する。


投稿者 町口覚 : 2006年11月24日 06:00

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